KOBE司法書士法人の相続担当 中川です。
不動産の名義書き換え(相続登記)に期限はあるのでしょうか、という質問をよくいただきます。
答えは・・・ 不動産の相続登記に期限はありません。ちなみに、預貯金等、不動産以外の相続手続きも別に期限は設けられていません。
放置していて怒られることもありません。
相続手続き全般は期限に縛られることがありませんが、相続を放棄する場合は期限(3ケ月)があるので注意が必要です。
期限がないからなのでしょうか、案外相続手続きを放置される方が多く見受けられます。
放置するのには、様々な理由があると思います。
悲しみに暮れているうちにそのままになっちゃった…とか
いつかやろうと思っているけど、相続人で音頭を取る人がいない…とか
働いているから週末しか時間がないけど、週末だと金融機関が営業していない、とか
そもそも相続人は誰なんだろう?どんな財産があるんだろう?とか
事情はともあれ、相続手続きを放置すると事態がこじれて厄介な問題が生じるかもしれません。
亡くなった方が遺言書を作成していない場合は、相続人で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)をした上、相続の手続きを行うことになります。
でも、手続きをせずに時間だけが経過すると、遺産を受け継ぐはずだった相続人が亡くなってしまうケースがあります。
こうなると、亡くなってしまった人の家族などが相続人となりますので、相続人が増えることになります。
~相続人が増えていく例~
Xさん(75歳)が亡くなった。
Xさんは生涯独身だったので、遺産を相続するのはXさんの兄であるAさん、Bさんと、妹であるCさんの3人。
Xさんが亡くなった後、Xさんの相続手続きを放置していたところ、Aさん、Bさんが相次いで亡くなった。
(だってAさん、BさんはXさんより年上ですからね…)
AさんとBさんにはそれぞれ家族がいるので、Xさんの相続はその家族が相続人となる。
Aさんには奥さんと子供が3人、子供のうち1人はアメリカ在住。
Bさんにも奥さんと子供が3人、子供のうち1人は前妻との間に生まれた子で、今はどこに居住しているか不明。
最初はA・B・Cさんの3名が相続人だったのに、瞬く間に増えてCさん・Aさん遺族・Bさん遺族の合計9名となりました。
9名全員が協力してくれないと相続の手続きは進みません。
人数が多いうえに、国外に住んでいる人、所在が不明の人もいますので、遺産分割協議や、書類や印鑑のやり取りが進まないことが予想されます。
もしCさんが認知症などで判断能力がない状態とみなされると手続きに後見人が必要となりますので一旦止まりますし、亡くなったとすればさらに相続人が増えていきます。
相続人が増えれば増えるほど、連絡が取りづらくなり、協力してくれるかどうかも不明なので面倒なことが増えるのは間違いありません。
有識者でつくる所有者不明土地問題研究会によりますと、所有者が分からなくなっている可能性がある土地の総面積が、九州より広い約410万ヘクタールに達するとの推計結果が公表されています。所有者不明になる原因はいくつかありますが、相続手続きの放置が原因のものが多いと推察できます。
所有者不明の土地が九州よりも広いなんて驚きですよね!
適切なタイミングで適切な手続きをしないと、ご自身に相続する権利がある不動産でも、自由に売買ができなくなります。Xさんの例のように、相続人がどんどん増えてしまうと面倒な状態となり、時間もかかるし、費用のご負担も多くなります。このあたりについては次回以降のブログでもご説明していこうと思います。
【今回のまとめ】
相続手続きを放置する → 相続人が増える → 遺産分割協議が難航
⇒⇒不動産の登記ができない、預貯金おろせない
当法人では、亡くなった方の相続人や財産の調査、預貯金や不動産の名義書き換えまで相続手続き全般に対応しております。
相続手続きはKOBE司法書士法人にお任せください。

九州よりも広い土地が誰の物か分からないなんて!