法定後見制度には、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の3類型があります。
法定後見制度を利用するためには、本人、配偶者又は四親等内の親族等が、医師の診断書など必要書類を添えて家庭裁判所に申立てをする必要があります。
家庭裁判所は、提出された診断書等に基づいてどの類型に当たるかなどを判断し、後見人、保佐人又は補助人を選任します。
誰を後見人等に選任するかは、家庭裁判所が決定します。申立人は家族などを候補者として申し出ることはできますが、弁護士や司法書士等の専門職が選任されることもあります。
後見人が選任されると、本人が行った契約等は取り消すことができます。
また、後見人は本人の財産を管理し、財産に関する契約等について本人を代表する権限を有します。
保佐人が選任されると、本人が、法律で定められた重要な財産上の契約(不動産の売買契約など)等を行うには保佐人の同意が必要になり、その同意なしに行った契約等は取り消すことができます。
補助人が選任されると、本人が法律で定められた重要な財産上の契約のうち、家庭裁判所が審判で定めた契約等を行うには補助人の同意が必要になり、その同意なしに行った契約等は取り消すことができます。
本人の財産を適切に管理し、本人のために、例えば次のような事務を行います。
・医療費、施設利用料、税金など必要な支払いを行う
・年金その他の収入を受け取る
・収入・支出や預貯金の入出金などの管理・記録をする
・金融機関での手続きを行う(例:預貯金の出金・送金、口座の名義書換など)
・財産の管理処分に関する契約を結ぶ(例:自宅不動産の売買、賃貸など)
・遺産分割協議をする
・株や不動産などの財産の管理をする(例:賃貸借契約の締結や家賃の回収、賃貸物件の維持管理等)
・本人が行った契約(後見の場合)や保佐人等の同意なしに行った契約(保佐、補助の場合)の取消しや支払った代金の取戻しをする
・悪徳業者による高齢者の不安をあおるなど不当な勧誘を受けて締結した消費者契約の取消しや支払った代金の取戻しをする
本人の療養看護や生活に必要な環境整備のため、例えば次のような事務を行います。
・施設への入所契約をする
・病院への入院契約をする
・要介護認定の手続きやその更新の手続をする
・介護サービス利用契約をする
成年後見制度について、詳しくは次のホームページをご覧ください。
報酬額は、後見人等の申立てに基づいて家庭裁判所が決定します。
報酬は本人の負担になります。
報酬額は、後見事務の内容や管理する財産額等が考慮されますが、月額1~2万円程度、財産額が1000万円を超えると、財産額に応じ、月額3~6万円程度とされることが多いようです。
親族が後見人、保佐人、補助人になった場合も、家庭裁判所に申立てをして報酬付与の審判がなされれば、報酬が発生します。申立てをしなければ、報酬は発生しません。
後見人は、本人の財産を、本人のために管理するのが職務であり、それを自由に使ったりできるものではありません。本人のため以外に使うと、犯罪になることもあります。
後見人として責任を持って本人の財産を管理しなければいけません。管理を怠ると、本人から損害賠償請求をされることもあります。
後見人が本人のために適切に財産管理等をしているかどうかは、家庭裁判所が監督し、場合によって後見人を解任されることにもあります。
本人の財産をどのような目的に、いつ、いくら使ったかなど、財産の管理状況は正確に記録しておく必要があります。
そうしないと、本人の死亡後に、後見人による財産管理状況をめぐって相続人間で揉めるおそれもあります。
後見人が本人の自宅不動産を売却したり、賃貸したりする場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
本人が相続人になった場合(本人の配偶者が死亡された場合など)に、遺言がないときは本人の法定相続分、遺言があるときは本人の遺留分を確保しなければなりません。本人の相続の権利を後見人が勝手に放棄することはできません。
後見人と本人がともに相続人である場合、本人と後見人の利益が相反するため、遺産分割協議に当たっては、本人について特別代理人が必要になります(後見監督人が付されている場合は、後見監督人が代理人になります)。
本人の介護や、食事や入浴等の介助などの事実上の行為は、後見人の仕事ではありません。
介護等についての後見人の仕事は、本人が介護など必要なサービスを受けられるように、介護サービス利用契約や利用料の支払いをするなど、本人の療養看護や快適な生活環境の整備のために必要な契約等の法律的行為をすることです。
後見人等については、本人の親族を候補者とすることもできますが、
親族間に利害相反があったり、財産が多くて一般の人には管理が難しいという事情があったりする場合、
親族ではなく、弁護士や司法書士等の専門職が選任されることもあります。
後見等の申立に当たっては、ご希望等により、当法人を後見人候補者としていただくこともできます。
申立に当たっては、審判申立書のほか、例えば親族関係図、財産目録、収支予定表、後見人候補者事情説明書、親族意見書、医師の診断書など、家庭裁判所から指定された相当数の書類を提出する必要があります。
当法人は、それらの書類の作成・準備・提出など申立手続全般をサポートさせていただきます。
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鑑定 ※必要な場合があります。 | |
審判 ※審判が確定するまで、2週間かかります。 | |
登記 ※裁判所の嘱託により登記されます。 | |
手続き完了 |